内臓の働き

食べ物を食べた時に食べ物が通過する内臓(消化管)と食べ物の消化・吸収を助ける
内臓(肝臓、膵臓、胆嚢)があります。

1.消化管 〔口腔 - 咽頭−食道−胃−小腸−大腸〕 の働きについて
A.口腔(こうくう)

口腔は、消化管の入り口です。
口腔は、舌(ぜつ)、頬部粘膜(きょうぶねんまく)、口蓋(こうがい)から
できています。
舌は味覚、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、構音(こうおん)の働きをします。
(咀嚼:物を噛むこと。嚥下:物を飲み込むこと。構音:声を作ること。)
口腔では、食べ物を咀嚼する時に唾液腺(だえきせん)から唾液が分泌します。
唾液と食べ物が混じり、食べ物に水分が混じり、嚥下しやすい状態になります。

B.咽頭(いんとう)

咽頭は、口を開けた時、喉の奥の突き当たりに見える部分です。
咽頭の上は鼻腔(びくう)と口腔(こうくう)につながり、下には声帯(せいたい)と
食道があります。

物を口に入れて噛んだ後は、舌の働きで咽頭に食べ物が移動します。
この咽頭に送られた物を飲み込む(嚥下(えんげ)する)ことで物が食道に入ります。
この時、気管や鼻に食べ物が誤って入らないのは、軟口蓋(なんこうがい)が鼻の出口を
ふさぎ、喉頭蓋(こうとうがい)が気管の入り口をふさぐからです。

このように、喉頭は空気の通り道と食べ物の通り道が交わる場所で食道と気管への
交通を整理する重要な働きがあります。この部の働きは、迷走神経(めいそうしんけい)
と咽頭神経叢(いんとうしんけいそう)によってコントロールされています。

C.食道

食道は、咽頭から胃までをつなぐ長さ約25cm、直径2cmの管です。ちょうど気管の
裏を通り、心臓の裏をぬけて胃につながります。

食べ物は食道の筋肉により、口から胃の方に押し出される運動(蠕動(ぜんどう)運動)
によって胃まで運ばれます。
蠕動運動によって食べ物が運ばれるため、逆立ちをしても食べたものが口に戻る
ことは普通はありません。
通過時間は、液体で1-6秒、固体で30-60秒です。

D.胃

胃は、みぞおちの左半分の場所に胃の約2/3が位置します。胃の容量は
1.2-1.6リットルです。

胃は、食道から入ってくる食べ物を一時ためて、混ぜ合わせ、消化、吸収し
十二指腸に排出します。
食べ物は胃の中で蠕動運動で胃液と混合されます。普通は約4時間で胃から
十二指腸へ送られます。

胃の働きは、第一に食べ物を十二指腸での消化の進み具合にあわせて貯蔵する
働きがあります。
第二の働きは、食べ物と胃液を混ぜ合わせる働きがあります。
第三の働きとして、胃酸による殺菌と腐敗の防止の働きがあります。

胃液には、塩酸、消化酵素、粘液が主で、塩酸はpH1.0-2.5という強い酸性です。
通常では胃酸で胃が障害されない理由は、粘液により胃の粘膜がバリアーされて
いるからです。
粘液の作用が弱くなったりすると酸によって胃の粘膜が消化されて胃潰瘍に
なったりします。胃潰瘍はいろいろな原因でおこります。

胃では、たん白質の消化が行われ、水とアルコールだけが吸収されます。
胃と食道のつなぎ目は噴門といい、筋肉によって普段は閉じられ
ているので胃の内容が食道に逆流することは
通常はありません。

胃は噴門と十二指腸の部分で固定されており、胃の大部分は腹部の中で動きやすく
なっています。胃透視では体の向きによっていろいろな形の胃が見られるのは
そのためです。

E.小腸

小腸は、口側から、十二指腸・空腸・回腸の順で大腸につながります。
全長約3mで直径約2cmの管です。腹部のほとんどを占めます。
十二指腸は、ローマ字の’C’の走行をしていて、長さ約30cmで指を横に
12本並べたくらいの長さです。

十二指腸は、肝臓で作られた胆汁と膵臓で作られた膵液が出る穴があり、
これらの消化液と食べ物がまざる場所です。
大便の黄色い色は、十二指腸で食べ物と胆汁が混じることによって便に色がつくのです。

空腸は解剖した時に腸の中身が空なのでこの名前がついたと言われています。
回腸は回りくねっているのでこの名前がついたと言われています。
空腸も回腸も食べ物を消化・吸収する働きがあります。
だから、胃や大腸は全部切除しても生きていけますが、小腸は全部切除すれば
生きていけません。

小腸の内側の壁には絨毛(じゅうもう)があり、この細かいひだの中に栄養素が
取り込まれ血管へ吸い込まれていきます。
小腸の動きも蠕動運動によって食べ物が運ばれますが、この蠕動運動は自分が
意識的に動かすことはできません。

蠕動運動は自律神経によって調節されており、副交感神経が高まると蠕動運動は
活発になります。
これらの腸には、腸間膜(ちょうかんまく)が付着していて、この腸間膜の血管を
通じて吸収した栄養が肝臓に運ばれます。
こうして食べたものの栄養は吸収されて、栄養素は貯蔵庫である肝臓に運ばれ、
貯えられます。

回腸と大腸のつなぎ目には、弁(回盲弁(かいもうべん))があり、大腸の内容は
小腸に逆流をしないようになっています。

F.大腸(だいちょう)

大腸は、口側から、盲腸・結腸・直腸の順で肛門につながります。全長で
1.5m程度の長さです。
盲腸は、回腸のつなぎ目から下の方に袋のように膨らんだ5cm程度の長さの腸です。
この一部からひもの様な虫垂がぶらさがっています。

一般にいわれている右の下腹が痛くなる「いわゆる盲腸(炎)」とは、
正確には虫垂炎のことです。
結腸は、大腸の大部分を占めており、主に水分を吸収する働きがあります。
ここでは、回腸から送られてきた内容量の1/4になります。

直腸は、肛門までの最後の腸です。長さは約15cmで、直腸の弁の働きで
糞便がたまり、排便反射で排泄されます。
大腸には、大腸菌が多数生息していて、人体に有害な細菌の繁殖を防いでいます。
通常では人体と大腸菌は共生しているのです。

2.肝臓の働きについて

肝臓(かんぞう)
肝臓はみぞおちの右半分を占める内臓です。体内最大の臓器で重さは
1.2-1.4kgです。

肝臓は再生能力の高い内臓で、正常の肝臓であれば、全体の2/3を切り取っても
元の大きさに再生します。
肝臓の働きは、細かい働きも数えれば500種類位になり、主には次のような
働きがあります。

1.栄養を合成・分解・貯蔵する働き

腸で吸収した栄養素は、腸間膜の血管から門脈に入り、肝臓へ運ばれます。
腸からの血液は、必ず肝臓というフィルターを通ってから全身の血液と混じる
ようになっています。

吸収された栄養は、エネルギー貯蔵物質のグリコーゲンとして貯えられます。
肝臓では糖から脂肪を作ったり、逆にアミノ酸や脂肪を元に糖を作ったりも
できます。ビタミンも貯える働きがあります。
体が必要な時に、これらの栄養を貯えたり、作って全身に放出したりしています。

2.毒を分解する働き

アルコールは吸収されて肝臓に運ばれ、分解され無害の酢酸に解毒されます。
不要になったホルモンも肝臓内で分解されます。
体内で発生したアンモニアも肝臓の中で人体に無害な尿素に分解され、
腎臓から排泄されます。

3.殺菌する働き

腸から入ってくる血液の中の細菌などを肝臓の中のクッパー細胞が殺菌します。
通常では、門脈の血液は肝臓を通るので肝静脈から全身に帰る血液の中には細菌は
いない状態になっています。

肝臓に血液が通ることで血液がきれいになります。まさに肝臓は、
フィルターとしての役割をしています。

4.消化液(胆汁)をつくる働き

肝臓では、古くなった赤血球を元にして胆汁を作ります。
一日に作られる胆汁の量は約1リットルです。
胆汁は、十二指腸で腸の中に放出され、脂肪やビタミンの吸収を助けます。

3.胆のうの働きについて

胆のう(たんのう)

胆のうはふかみどり色をした、長さ7-8cmで幅2-3cnの「なすび」のような形を
した袋です。
肝臓の下の面にくっついていて、肝臓から分泌された胆汁を一時蓄える働きをします。
胆のうの袋の壁は薄い筋肉がついており、必要な時に収縮します。

蓄えられた胆汁は、胆のうの中で1/5-1/10に濃縮されます。
食べ物が十二指腸に到達した時に、胆のうの壁の筋肉が収縮し、貯まっていた胆汁が
十二指腸に放出されます。

4.膵臓の働きについて

膵臓(すいぞう)

膵臓は、胃の後ろ(背中側)にある、長さ約15cm、幅5cmの細長い、
「すじこ」のような形をした内蔵です。
膵臓の働きは、外分泌(がいぶんぴつ)機能と内分泌機能です。

1.外分泌機能

外分泌機能は、膵液という消化液を作り、膵管(すいかん)からを
十二指腸へ分泌します。
膵臓は膵液を一日に約1リットル以上作ります。
膵液は、強力な消化液で、脂肪・タンパク質・炭水化物すべてを消化することができます。

(これに対し、唾液は炭水化物のみを消化し、胃液はタンパク質のみを消化します。)

2.内分泌機能

内分泌機能は、インスリンとグルカゴンをいうホルモンを作り、毛細血管の中に分泌します。
インスリンとグルカゴンは、膵臓の中の特殊な細胞の集まりである「ランゲルハンス島」で
作られます。

「ランゲルハンス島」とは、外分泌細胞の中に島のように分散している細胞群のことで、
発見者の名前がついています。
インスリンは、体の細胞の中にブドウ糖が取り込まれたり利用されたりするのを促し、
血糖値(血液中の糖の濃度)を下げる働きをします。
グルカゴンは、肝臓のグリコーゲンの分解を促進して、血糖値を上げる働きをします。
通常は、食べ物を食べて血糖が上昇すると、膵臓の「ランゲルハンス島」の細胞から
インスリンが放出されて、血糖値の調節が行われます。